裏うらなか雑記

新ブログ「うらなか書房のあやしいグッズあり〼」

うらなか書房のあやしいグッズあり〼

上記に移転しました。今後は上記の新ブログで、ホラーなもの奇妙なものB級っぽいものについての紹介などをしていきます。よかったらご覧ください!

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伊藤晴雨物語のことなど

伊藤晴雨物語ちょっと前のことですが、ヴァニラ画廊に「団鬼六・追悼絵画展」を観に行きました。
う〜ん、スゴかった……いろんな意味でスゴかったです。

私は団鬼六の本というと「伊藤晴雨物語」と「真剣師小池重明」くらいしか読んだことがないのですが、どちらも面白かったです。

特に「伊藤晴雨物語」、団鬼六と責め絵画家・伊藤晴雨という組み合わせからすると、ものすごくどぎついものを想像されるかもしれませんが、団さんはこの「伊藤晴雨物語」を書き上げてからいわゆるSMポルノ小説に本腰を入れ始めたそうで、

(この小説の原稿を「奇譚クラブ」に郵送した後、三歳の長男を背負って海を眺めながら)
親父は明日からポルノ作家になるからな、と、背中の長男に詫びるような気持で口走ったのも懐かしい思い出である。

と、あとがきのような「著書ノート 契機」というものに書いてありました。

団鬼六さんは意外にもSMが好きで好きでたまらなかったという訳ではなくて、生活のためにSMポルノ小説を書き始めたということなのですね(「著書ノート」にはその他「創作に対する未練を断ち切り……文学青年的な悩みを一人前に抱いていたような気がする……などといった言葉が見受けられます)。
つまり、この小説が団鬼六さんとして書いた唯一の「小説らしい小説」ということらしいです。

しかし(というか、それゆえというべきなのか)、団鬼六さんが晴雨に向ける眼差しは、とてもあたたかいような気がします。

「たとえ貴方のお描きになっていらっしゃるものが永久に人に認められないもの、いえ、人に嫌悪感を抱かせるだけのものであったとしても、事実、自分の魂がその絵を描きたがっているのなら、迷わず描きつづけるべきだと思いますわ」

「いいじゃありませんか、変質者だって。変質者が変質者なりの芸術を生み出す、これだって立派な仕事だと思いますわ」


〜「伊藤晴雨物語」より〜

こういうような台詞に、世間に「変態画家」と罵られても、自分の好きなことをやり通した晴雨への尊敬の念が感じられます。

また、晴雨はもちろんですが、大森という文学青年のデカダン具合がすごいです。大森さんを主人公にして本が一冊書けそうなくらいです。いや、そんなこといったら、この小説に出てくる人は皆キャラが濃いので、それぞれが主人公になってもおかしくないのですが……。

どこまでが実在した人物か、実際のエピソードかなどは不明なのですが、乱歩っぽい人やら、以前に探偵小説の論争という記事でちょこっと書いた浜尾四郎らしき探偵小説家が出てきたりします。また、妊娠中の奥さんを芳年の絵のように逆さ吊りにしたというエピソードは確か「美人乱舞―責め絵師 伊藤晴雨頌」に載っていたので本当のことだと思います。

上記妊婦の逆さ吊りからの流れで、

残酷趣味というものは、実際は、空想の域から脱することはないと晴雨は知覚したのである。

という一文があります。

また、全然違う作品ですが、丸尾末広の「笑う吸血鬼」では、少年が吸血鬼の真似事をして少女の血を吸ってみたところ「オエー、ま、不味い」という風になる場面がありました。
そして乱歩も、確かエッセイで「現実世界の殺人事件などにはまるで興味がない」というようなことを書いていた気がします。
何が言いたいかと申しますと、空想>現実、とでも申しましょうか。物騒なことは実際はやらずに、空想、妄想、想像に留めておいた方が楽しいのだろう……、と、上記にあげた作品などを読んでそんなことを思いました。

ご興味ある方はよかったらお読みになってみて下さい。

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オマケ
エロポン
ヴァニラ画廊で入手した大人のフィギュア……棚の前で、これを買ってしまっていいものかと逡巡すること数分……で、結局買っちゃいました。以前に「タモリ倶楽部」で似たようなフィギュアが出ていてちょっと気になっていたのですよね……。すごくよく出来ています。

伊藤晴雨物語 (河出文庫)

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真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)

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美人乱舞―責め絵師 伊藤晴雨頌

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笑う吸血鬼

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