裏うらなか雑記

新ブログ「うらなか書房のあやしいグッズあり〼」

うらなか書房のあやしいグッズあり〼

上記に移転しました。今後は上記の新ブログで、ホラーなもの奇妙なものB級っぽいものについての紹介などをしていきます。よかったらご覧ください!

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ボンデージ・ミステリ作家 朝山蜻一

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白昼艶夢 朝山蜻一「いや、程度だよ。百年前のヨーロッパにはあったそうだが、人間の胴とは思えないほど細いんだ」
「細いって、どのくらいですの?」

       ……中略……
両手をゆっくりマダムの前に突き出し、その大きな眼で覗くように、指で円を作って見せた。
「このくらい――」

「白昼艶夢」より



西荻窪で探偵小説についてのトークショーで少し触れた朝山蜻一の小説を読みました。これぞまさしく「エロチック・スリラー」といった感じの話ばかりでした。

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真夜中に唄う島 朝山蜻一「真夜中に唄う島」の解説では「B&D=ボンデージ(拘束)&ディシプリン(服従)小説」という風に言い表されています(朝山蜻一自身については「偉大なるフェティッシュの王」という賛辞が贈られています)。

この人のデビューのきっかけは、昭和24年の「宝石」のコンクール(江戸川乱歩が審査をしていた)だったらしいのですが、その作品というのが「くびられた隠者」というものです(「白昼艶夢」所収)。
謎めいた導入……ということで探偵小説の範疇に入らないことはないのでしょうが、トリックだとか犯人あての要素は皆無に等しい、本格探偵小説とはおよそかけ離れた小説です。
これはこの話に限ったことでなく、この本に所収されている全ての話(短編小説16作)に共通していえることです。そして大体の話に世間一般でいう所の異常性欲者が登場します。

彼らのこだわりは皆尋常一様でないのですが、中でも「腰が細い女に異様に執着する男」が描かれている表題作「白昼艶夢」は凄まじいです。これは作者さんの趣味であったようで、「真夜中に唄う島」にも腰の細い女性が出て来ます(女性の腰の描写が2ページにわたって続く箇所があります……どれ程の細さかわかりやすい文章を抜粋してみると、「片手で握れるのではないかと思うほどくびれていた」)。

パターンとしては、傍若無人な男におとなしい女性がついて行く……という話が多いかと思います(まるで真逆の場合もありますが)。
しかしどの話も、趣味嗜好云々というより、普段は表に出せぬ己の欲望を、文章によってイキイキと具現化している、という情熱が感じられて清々しいです。
かといって、情熱だけではなくて、きちんと小説としても成り立っていると思います(私は「奇譚倶楽部」に載っている小説はちょっと露骨すぎてついていけませんでした)。
普通小説とSM小説の中間といった感じで、ちょっとおかしな言い方かもしれませんが、私みたいな半端者にはちょうど好い加減の雰囲気に思えました。

「真夜中に唄う島」も面白いです(結構長め)。ちょっと陰惨すぎるきらいもあるのですが、好き放題やらかしといてもういいや、と言わんばかりに終るのが潔いです。
これには「幻影城」に連載されていたという「蜻斎志異」全12話も収録されています。これはこれまでの話とは少し趣が違って、幻想小説に近いのかなァという感じでした(「真夜中……」などとはだいぶ年月が隔たっているようです……ちょっと中井英夫っぽい雰囲気があるような)。
ちなみに、この表紙はちょっとイメージと合わないような気がします(これだと何だか団○妻とかそういった感じに見えてしまうような……)。

探偵小説と思って読むとちょっと違うかな、という感じかもしれませんが、どれも小説としては読み応えがあるものばかりだと思います。作者さんと同じような趣味の方は無論ウハウハだと思いますが、そうでない方も楽しめる……否、誰でもという訳にはいかないかもしれませんが、ちょっと風変りな小説が好き、という方は楽しめるんじゃないかと思います。
ご興味ある方はよかったら読んでみて下さい。

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