
ちょっと前のことですが、
ヴァニラ画廊に「団鬼六・追悼絵画展」を観に行きました。
う〜ん、スゴかった……いろんな意味でスゴかったです。
私は団鬼六の本というと「
伊藤晴雨物語
」と「
真剣師小池重明
」くらいしか読んだことがないのですが、どちらも面白かったです。
特に「伊藤晴雨物語」、団鬼六と責め絵画家・伊藤晴雨という組み合わせからすると、ものすごくどぎついものを想像されるかもしれませんが、団さんはこの「伊藤晴雨物語」を書き上げてからいわゆるSMポルノ小説に本腰を入れ始めたそうで、
(この小説の原稿を「奇譚クラブ」に郵送した後、三歳の長男を背負って海を眺めながら)
親父は明日からポルノ作家になるからな、と、背中の長男に詫びるような気持で口走ったのも懐かしい思い出である。
と、あとがきのような「著書ノート 契機」というものに書いてありました。
団鬼六さんは意外にもSMが好きで好きでたまらなかったという訳ではなくて、生活のためにSMポルノ小説を書き始めたということなのですね(「著書ノート」にはその他「創作に対する未練を断ち切り……文学青年的な悩みを一人前に抱いていたような気がする……などといった言葉が見受けられます)。
つまり、この小説が団鬼六さんとして書いた唯一の「小説らしい小説」ということらしいです。
しかし(というか、それゆえというべきなのか)、団鬼六さんが晴雨に向ける眼差しは、とてもあたたかいような気がします。